技術サポート / コテック製品に関する技術情報
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トラブルシューティング
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01. 色ムラ :Uneven Color
着色剤の分散不良、着色剤の熱劣化。
(1) ドライカラーの混練不足では色ムラが発生しやすい。PCには勧められない。
(2) 着色剤の熱安定性を事前にチェックし、使用条件を決め、その範囲内で使用する。樹脂温度が条件を超えると変色の原因になる。
(3) パール・メタリックの場合ウェルドが発生、本質的に避けられない。
02. ウェルドライン :Weld Line (Knit Line)
樹脂の2つの流動先端が、金型内で合流する部分に発生する筋状の外観不良。
(1) 射出速度をさげ、またはゲート位置を変え、物性や外観上に影響が少ない部分にウェルドラインを移動させる。
(2) アルミ・パールの着色剤は樹脂の流れに配向し、かえってウェルドが目立つ。
(3) キャビティー内の空気・樹脂の揮発分の抜けが悪くウェルド部に集中する場合、ガス抜きをつける。
(4) 離型剤・滑剤等が溶融樹脂と共に流されウェルド部に集中するので、金型付着物は丁寧にふき取る。
03. クレーズ及びクラック :Craze/Crack
成型品の表面に発生した、細かい線状のひび又は割れ。
(1) アニールを行い、内部応力を緩和する。
(2) 不均一な肉厚による製品の場合、ソリ・曲り・ねじれ等により残留応力が発生するので、肉厚の均一化をはかる。また、テーパー又はRを付けて肉厚を徐々に変化させる。
(3) 離型時、突きだしピン周辺が白化、最悪時はクラックになる場合、離型抵抗力を下げる(抜きテーパーを十分とる。金型の研磨等)
(4) キャビティーへの過充填によるゲート付近の残留歪みにより発生する場合、充填圧力を過度にしない。
04. 光沢不良 :Defective Gloss
樹脂の流動性不良による転写不良、金型内残留エアー・揮発性ガス等により光沢が低下する。
(1) 金型の表面が鏡面に保たれているかどうかをチェックする。金型表面の磨きが不足する場合、磨き直す。離型剤や樹脂からのブリードによる付着物質は、ケロシン・アルコール等で除去する。離型剤は最小必要量にとどめる。
(2) 金型内の空気・揮発分による密着阻害の場合、ペレット乾燥の徹底、金型キャビィテー内のガス抜きのためのベントを設置する。ガスが抜けきらない場合、ベントを掃除する。
(3) 樹脂が熱分解する場合、樹脂温度を下げ、滞留時間を短くする。
(4) 樹脂粘度が高い場合、金型表面で熱を奪われ更に高粘度になり、金型表面の転写が悪くなる。樹脂温度・金型温度を高く、射出速度・圧力を増し、樹脂の固化を遅くする。
(5) 一般に、射出圧力が高くなると、金型との密着が良くなり、光沢は良くなる。熱変形温度 -20℃程度が残留応力も少なく、良い条件とされる。
(6) 射出量が成型機の射出容量の30~60%になるような成型機を選択する。
05. 黒点、黒条 :Black Specks(Black Spots)、Black Streaks
樹脂・可燃性揮発分・潤滑剤等が長時間の滞留や高温にさらされたため、熱分解・炭化し、製品に黒い点や黒筋を生じたもの。金型内で空気が逃げられず、断熱圧縮により樹脂が炭化したもの。異物・異樹脂の混入によって生じたもの。
(1) 乾燥機やホッパー内部に異物・異樹脂が混入していないか点検する。
(2) 長時間、高温下でシリンダー内に樹脂を滞留させない。
(3) 長時間運転により、シリンダー内壁・スクリュー表面に付着した焼けた樹脂が剥離・混入した場合、スクリュー・シリンダーのクリーニングや、摩耗していないか点検する。
(4) 高温下での成形終了後は、GPPSやHDPEでシリンダー内の樹脂をパージしながら、シリンダー温度を230℃程度まで下げた後、シャットダウンする。
06. ジェッティング/ワーミング :Jetting/Worming
成型品の表面に、ゲートからリボン状の流れ模様が出る現象。成形の初期段階で、ノズルから射出される比較的低温の樹脂が射出されたとき、金型面に当たって高粘度となり、渦巻き状になってしまい、この材料が次々と射出されてくる熱い樹脂によって押し流され、跡を残すため。
(1) 樹脂温度が低い場合、溶融粘度が高く、金型内で更に高くなり流動抵抗が大きくなるため発生しやすい。 樹脂温度を高くする。ノズルタッチ成形はノズル温度を低下させるので、ノズル温度を高くする。
(2) 金型温度が低く、金型内に射出された樹脂が急冷され、粘度が高くなる場合にも発生しやすい。金型温度は樹脂の熱変形温度マイナス20℃程度に設定する。
(3) ゲートが小さかったり薄肉部にあると、キャビティー内に射出された樹脂の流速が速くなり発生しやすい。金型・成形条件をかえて射出速度を遅くする(ゲート断面積を広げる。ゲート形状はオーバーラッピングゲート、ファンゲート等を勧める)
07. ショートショット :Short Shots
金型内への樹脂の充填不足状態。成型品の先端部に発生するさざ波状の模様となることもある。
(1) 樹脂の粘度が高く、又は流動性が悪いために、キャビティー内への充填不足が起こりやすい。樹脂の可塑化能力が不足しており、加熱時間を延ばす、回転数を上げる、背圧を上げる、樹脂温度を高くする等の対策を行う。
(2) 金型内抵抗が大きい場合、ノズル径・スプルーランナー・ゲートを太くする。
(3) ゲートの位置を検討し、サイズを大きくする。
(4) 樹脂温度が低く流動性が不足する場合、樹脂温度を上げる。
(5) 射出圧力や速度が低い場合、圧力・速度を上げる、特に薄肉の場合は速度を上げる。
(6) 肉厚が薄すぎる場合、肉厚を増す。
(7) 計量(供給量)が不足していないか、材料のスクリューへの食い込み不良がないかチェックする。
(8) 成型品のサイズが大きすぎる場合、成型機の容量・射出能力の不足で発生する。成型機のサイズを変更する。
(9) 金型温度が低すぎる場合、温度を上げる。
08. シルバーストリーク :Silver Streaks/Splay Marks
シリンダーに巻き込まれた空気や水分・熱分解ガスが、ゲート部から成型品表面に放射状に広がる銀条痕の外観不良。
(1) 乾燥を十分にし、水分・付着水等を除去する。熱風循環式乾燥機では120-130℃・3時間以上、トレイは3~4cm以内の深さで乾燥させる。ホッパードライヤーでは 2時間以上滞留する容量が望ましい。乾燥機やホッパードライヤー等の温度をよく点検する。梅雨時にはホッパー部から吸湿することもある。
(2) 粉末・薄片状はペレットより空気をかみ込み易い。
(3) 樹脂・添加物が熱分解している場合、分解促進物質を除去、温度をチェックし熱分解を抑制する。
09. 脆性破壊 :Brittleness
熱分解、分子量低下、樹脂の配向・残留応力などにより、本来持っている機械的強度よりも弱くなること。
(1) 高温下で水分が存在すると加水分解をおこす。ペレットの事前乾燥の徹底、配送ラインの乾燥状態等を確認する。
(2) 加熱分解を防ぐには、シリンダー温度・樹脂温度を下げ、滞留箇所を無くす。
(3) 過度の熱履歴による分解を防ぐには、製品が30~60%程度になる射出容量の成型機を選択する。
(4) 低温で成形するために、基本肉厚を増したり、スプルー・ランナー・ゲートを太くしたり、金型温度を高める。
(5) スプルー・ランナー・不良製品等の再利用は分子量低下を起こすので、混入比等を事前に確認する。
(6) 樹脂は流れ方向に配向し直角方向がもろくなるので、樹脂温度・金型温度を高く、金型は内部の流動抵抗を出来るだけ小さく、射出速度は出来るだけ遅くする。
(7) シャープエッジが存在する場合はノッチ効果が発生する。金型デザインを変更し、ゲート位置の修正、シャープコーナーや極端な偏肉部の応力集中をさける(R付け)。
(8) 金型温度が低すぎ残留応力のレベルが高い場合、金型温度を上げる。
(9) 射出圧力・保圧が高すぎる場合、圧力を下げる。
(10) 偏肉による内部応力の発生する場合、偏肉を無くす、又は少なくするように金型デザイン変更する。
(11) 離型不良によっても内部応力の発生又はレベルが高くなることがある。離型不良の項参照。
10. ソリ :Warpage/Part Distortion
充填された樹脂の不均一収縮・残留応力・歪み等の影響にる、ソリ・曲がり・ねじれ等の変形。
(1) 成形時の残留応力(流れ/直角の収縮率差、肉厚差)が発生する場合、金型温度・樹脂温度を上げ、射出圧を下げ、金型に流し込むような感じが良い。矯正が困難な場合、ゲート位置・数の変更、製品形状の一部変更等を行う。
(2) 成型品の構造上の問題から、金型のキャビティー側とコア側の冷却速度が異なっている場合、金型のキャビティー側とコア側の金型温度を変える。
(3) 金型の冷却が不均一の場合には、金型の冷却回路を検討する。
(4) 離型不良によっても変形が生じる。離型不良の項参照。
(5) 方向性を少なくするために、ゲート位置及び数をチェックする。
(6) アニーリングを十分に行う。
11. バリ :Flash
射出圧力過剰、流動性過剰、金型内エア抜き不良、型締め力不足等による金型の接合部に発生する樹脂のはみ出し。金型のパーティングラインに傷があったり、異物が付着しても発生。
(1) パーティングラインを点検する。
(2) 成型機の型締め力が不足している場合、型締め力をあげる。
(3) 成型品の投影面積が大きすぎて型内圧により金型が開いている場合、成型機の型締力を大きくする。
(4) 射出圧力が高すぎるか、射出速度が速すぎる場合、射出圧力を下げるか、射出速度を下げる。
(5) 材料供給量が多すぎないように最適化する。
(6) 樹脂温度が高く粘度が低くなりすぎると、僅かな隙間に入り込む。樹脂温度を下げる。
12. ヒケ :Sink Marks
キャビティーに充填された樹脂が冷却の不均一により体積の収縮差が発生し、成型品の表面に出る凹面の外観不良。肉厚成形の場合、中央部の冷却が遅く固化に時間がかかるため、外部の固化層が収縮の際に内外側へ引張られて発生。また、金型表面に温度差がある場合も同様に発生する。
(1) 射出量が不十分で、クッション量や保持圧力が不足すると、ゲート部のヒケ、成型品の表面のムラとして発生しやすい。射出容量を増やす、射出圧力を上げる、材料の計量を増す。クッション量は3~5mmが一般的。
(2) 金型の温度差や肉厚に不均一があると、冷却が不均一になりヒケを発生しやすい。冷却不足は金型設計の段階で考慮する。
(3) ゲートは肉厚の一番厚い位置に設ける。ゲートのサイズ・特に厚みを増す。
(4) 成型品の肉厚・容積に比べ、スプルー・ランナー・ゲートが細すぎ、金型内の樹脂に十分な内圧がかからないと発生しやすい。スプルー・ランナー・ゲートを太くする。
(5) バリを発生しやすい金型は締まりが悪く、ヒケを発生しやすい。金型を修正する。
13. フローマーク :Flow Marks
スプルーランナーで冷やされた樹脂がキャビティー内で冷やされ高粘度で充填される結果、樹脂が半固体の状態で圧入され、ゲートを中心に発生する縞模様。
樹脂温度が低く流動性が不足、金型温度が低く冷却が不適当な場合に発生しやすい。
(1) 樹脂温度・金型温度を上げ、射出速度を速め、キャビティー内の粘度増加を抑える。
(2) ゲート・スプルー・ランナーを大きくし、流動抵抗を下げ、充填時間を短くする。
14. ボイド :Voids
ヒケが製品内部に出る現象。製品設計・金型設計の段階で考慮すべきもの。
(1) 肉厚部分が急冷され、収縮出来ないため、容量不十分が内部の真空気泡となる。偏肉を無くす。肉厚部に直角に入れるよう、ゲート位置を修正する。
(2) 射出圧力及び保圧が不足すると発生しやすい。圧力及び保圧を増す。
(3) 金型温度とシリンダー温度のバランスが悪い。金型温度を上げ、シリンダー温度を下げる。
15. 離型不良 :Defective Demold
金型から成型品が離れにくく、場合によっては成型品の破壊を伴う現象。
(1) 金型設計不良 コア・キャビティーの勾配不足。抜き勾配をつける。又は大きくする。
(2) ノズル・金型のR部に引っかかりがあると、樹脂が溜まり・固まる。
(3) ノックピンの位置・数の不適。適正な位置・数を検討する。
(4) コアより離型する場合、成型品と真空状態になる。コアの表面が平滑な場合に生じやすい。ピンでなくプレートを突きだし、ベントピンを設ける。
(5) 射出圧力・保圧が高く、充填容量が多すぎた場合、圧力を下げ、保圧時間の短縮、原料の計量を少なくする。
(6) 樹脂温度が高く又は金型温度が高すぎ冷却が不十分で成型品が金型に付着する。温度を下げる。
(7) 射出圧が高すぎると、残留歪みが大きくなり、成形収縮が不均一になり、抜けにくくなる。金型内の有効射出圧力をさげる(射出速度を遅く、圧力を下げ、樹脂温度・金型温度を下げる。射出時間を短くする)
(8) 材料の供給量が多すぎる。
(9) サイクルの冷却時間が短いか、極端に長い場合、冷却時間を延ばす、又は、樹脂温度を下げる。
(10) 金型が電着メッキの場合、メッキがコーナー部や平面部に着きやすい。複雑な形状には勧めない。
(11) 離型剤が不足。
16. 焼け :Burn Marks
シリンダー内で過剰の熱履歴により樹脂・添加剤等が変色したもの、または部分的に混入したもの。
(1) シリンダー内に長時間残留させた樹脂はパージする。
(2) パイロメーターで融点樹脂の溶融状態をチェックし、シリンダー温度・スクリュースピード・背圧等で樹脂の過剰熱履歴を避ける・成型機の容量が過大の場合、適性容量の機械に変える。
(3) 成型機の容量が過大の場合、適性容量の機械に変える。
(4) 樹脂の溶融状態を均一にするため、背圧を上げる。
(5) ノズルの温度が高すぎる場合には、温度を下げる。
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